現場体験学習には前回ブログで紹介した、まちにとってこれが欲しかったんだよと思えるサービスを創りだすプロセスとしての学外授業とともに、サービスの担い手になるためのこころを育てる座学が欠かせない。一橋大学の単発講義ほか、亜細亜大学、東京女学館大学、武蔵野大学でこのやり方を実施してきた。これを、本ブログのタイトルである『サービスはこころでする―マニュアルをちょっとはみだして「サービス上手」になるためのたくさんのお話―』の書籍版をテキストに、その目次を活用して次のように組み立てている。
第1週 サービス研究① サービスとはなんだろう
第2週 「また来たい」と思わせたコミュニケーション(海外編)
第3週 コミュニケーション技法:チェックシート①
第4週 コミュニケーション技法:チェックシート②
第5週 サービス研究② ファーストコンタクトを大切に
第6週 サービス研究③ 見えるモノを中心に届ける
第7週 サービス研究④ 目に見えないモノを届ける
第8週 「また来たい」と思わせたコミュニケーション(大学地元編)
第9週 ゲスト講師(この科目OB)本授業を仕事でどう役立てる?
第10週 サービス研究⑤ 「サービス人手」のうまいかけ方
第11週 サービス研究⑥ サービス精神とはいったいなにか
第12週 プレゼンテーションの技法
第13週 学生発表「私が見つけたこころでするサービス」
第14週学生発表「私が見つけたこころでするサービス」
第15週ディスカッション:サービス業は喜ばせ屋
『サービスはこころでする』の章のなかから、毎回学生が「こんな経験、あるある」と感じたエピソードを拾い、自分の経験に重ねて発表し、みんなで議論。一方で服装、聴き方、話し方からプレゼンテーション方法まで具体のチェックシートで確認。授業では正解をつくらない。発表や成績はプレゼンの巧拙などではなく、いかに自分にしか思いつかなかったことを夢中でやり抜いたかで評価。偏差値とは別世界の教室だから障害のある者、外国人学生の話し方など誰も笑わない。学期の終わりには各自、サービス引出を見事に整理し、教員などそっちのけで学生同士で授業が進む。なにより思いやりのこころが育つのが冥利。「大丈夫、これで社会人といいつき合いができる」と言って単位を渡す。
[2015.01.12]